昨日(2/7)に開幕した、ミラノ・コルティナ五輪。NHKでその開会式の解説をしたヤマザキマリがSNSで話題持ちきり・・・と知りつつ、じつは所用にてその開会式をまだ観ていないのです(録画はしています)。
そのヤマザキマリさんの、同じくNHKでの番組「最後の講義」を子どもたちと観たことがあります。もう2年前の暑い盛りのことです。ちょうど義父の墓参帰りでした。
外気の火照りを冷まして、子どもたちに録画していたNHK「最後の講義」を観させる。今回の登壇者はヤマザキマリだ。
漫画家・文筆家・画家 ヤマザキマリ - 最後の講義 - NHK
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高校中退して画家目指しイタリアへ行くも、貧しい生活が彼女を待っていた。彼女の専攻は「肖像画」コースだという。すでにカメラが存在している世の中では「肖像画なんて需要はなかった」。
しばらくして職業〈詩人〉の男と結婚するが、〈経済生産性〉のない絵描きと詩人は極貧生活からは抜け出せない。
27歳でヤマザキは妊娠する。彼らの生活事情を知る医者はさておき、夫は「こんな生活の中でまた一人食い扶持が増えるなんて」と彼女の妊娠を喜ばない。夫のその言葉を聴いた瞬間、彼女は「この子を産む」と決断したという。
しかし、現実問題としてこれからどう生活していけばいいのか。
まず彼女がやったことは、自分がずっと抱いていた画家の夢を捨てること。「シャッターを降ろす」という言い方をしていたが、画家になることをいったん諦めることだったという。そこから彼女の〈サクセスストーリー〉というか〈復活劇〉がはじまるのだが(もちろんそれはそれでスリリングで面白いことは確かだ)、そんなことを子どもたちに観てもらいたかったわけではない。
彼女が諦めた〈画家〉という夢は、はたして2022年に実現する。山下達郎が自分の新譜「Softly」のジャケット用にと、油彩の肖像画を依頼したのだ。
「30年待ってくれていたんだ」と彼女は少し涙ぐみながら口にした。
山下達郎肖像画 初公開! | ヤマザキマリの世界 (yamazakimari.world)
この「Softly」、じつはわたしがCDで買っていて、クルマでドライブするときによくかけているので、子どもたちにはジャケットの肖像画には馴染みがある。ヤマザキマリが山下達郎の肖像画を描いたと知って彼らはびっくりしていた。そして、わたしが「この番組を観ろ」と言ったことの意図も解ってくれたかなとも思う。
一枚の肖像画にも歴史はある。そんな陳腐な言葉に収斂するのは勿体ないくらいの、ヤマザキマリの〈最後の講義〉だった。